戸建て住宅を建てる時やリフォームをする際には、自分の好みに合ったデザインの外壁にしたいと考えている方が多いでしょう。
昔は職人が手作業で仕上げるモルタルが定番となっていましたが、近年は手軽におしゃれな見た目にすることができる「サイディング」の方が流行しています。しかし、サイディングには材質や機能性の違うさまざまな種類があり、どれを選択したらいいのか迷ってしまうことも多くあるようです。そこで今回は、外壁の素材として使われるサイディングの種類について詳しく解説していきましょう。
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サイディングとは、外壁に使われている壁材の1つです。近年は国内の約8割程度の住宅で使用されていると言われています。元々は職人が手作業で行うモルタルが主流となっていましたが、職人の技術がなければ作業が難しいですし時間がかかってしまう点が問題となっていました。しかし、サイディングはボードを壁に合わせてカットして、貼ってつなぎ目を埋めるだけなので、低価格でデザインを自由に変えることができるため、人気が高まってきています。新築の戸建て住宅はもちろんですが、古くなったモルタル壁からのリフォームとして、サイディングが選ばれることも増えているようです。
元々外壁はモルタルが主流となっていましたが、サイディングが登場したことによって一気にそのシェアが異なりました。そこでここからは、サイディングが外壁に選ばれる理由について詳しく解説していきましょう。
外壁をリフォームするとなった場合、時間もコストもかかるのでなかなか踏み出せないという方も多くいるようです。しかし、サイディングは数ある外壁材の中でも比較的安価となっているので、費用が負担になることなく気軽にリフォームを行うことができます。その上、既存の外壁に重ねて施工することも可能なので、リフォームの時間が短くなるのも嬉しいポイントと言えるでしょう。
サイディングは他の壁材に比べて軽いものとなっているので、建物の耐震性を損ねないことも大きなメリットです。モルタルはサイディングの2倍以上の重量となっていることを考えると、リフォームによってサイディングに変えることで耐震性を向上することができるでしょう。
サイディングはさまざまな種類があり、そのデザインや色合いは多岐に渡ります。そのため、簡単に自分の好みの柄・素材感にすることができるので、多くの戸建てで使われていると考えられます。
これまでの定番だったモルタルの場合、職人が手作業で塗り上げていたため、作業をしてくれる職人によって仕上がりが大きく違うことがデメリットとされていました。しかし、サイディングは工場で作られたサイディングボードを現場でカットして貼り合わせていくので、業者による仕上がりの差がそこまでありません。ただ、担当する業者の腕が悪いと、サイディングボードのつなぎ目が目立ったり、見た目が悪くなることもあるため、しっかりと業者選びを行うことが重要です。
サイディングには、主に4つの材質があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、事前にしっかりと検討して選ぶ必要があります。そこでここからは、サイディングの材質別のメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
窯業(ようぎょう)とは、セメントなどの非鉄金属の素材を高温処理した製品のことを指します。窯業系サイディングはセメントだけではなく木質繊維が使われており、主なサイディングの外壁ではこれが使われています。新築戸建てだとほぼ100%の確率で窯業系サイディングが使われており、高いシェアとなっていることが分かります。
窯業系サイディングがこれほど高いシェアを誇っているのは、高いデザイン性が1つの要因と言えます。同じ素材でも、タイル腸やレンガ調など好みのデザインを作ることができますし、そのクオリティも高いことで知られています。そのため、好みに合わせて自由に選べるのは魅力的でしょう。
窯業系サイディングはシェア率が高いからこそ、多くの商品が発売されています。厚さも幅広く用意されていますし、さまざまな性能が搭載された商品が多数開発されています。幅広い選択肢の中から、自分の理想の家に合わせて選べるのも、窯業系サイディングの特徴の1つです。
窯業系サイディングで使われている材料は比較的安いものになっています。その上、加工に係る時間も短時間でいいので、全体的にかかるコストを抑えることができるというメリットがあります。より安く、おしゃれな外壁にしたい方におすすめです。
窯業サイディングを使う場合、開口部周りにシーリング材を使って間を埋め合わせています。このシーリングは外壁の弱点となってしまい、10~15年に一度はメンテナンスを行う必要があります。シーリングの交換の費用に、だいたい15~25万程度かかると言われています。近年はシーリング材の耐久性をできるだけ高めるための開発が行われていますが、それでもメンテナンスが必要になることは理解しておきましょう。
窯業サイディングを使っていても、いつかは張替えを行わなければいけません。リフォームなどで張替えを行う場合には、他の素材に比べて窯業サイディングは高い費用がかかると言われています。
金属系サイディングとは、金属製の板を成型して作られた外壁です。昔は外壁に使う素材としてはトタンが主流でしたが、現在はアルミやステンレス、ガルバリウム鋼板などが使われることが多いです。新築の市場でも人気があり、窯業サイディングにつぐシェアを誇っています。また、リフォームの場合はトップシェアとなっています。
金属系サイディングがリフォームで多く利用されているのは、重ねづけを行うことができるからです。古くなった外壁材の上に重ねてつけることができるので、作業工程を減らして時間もコストも削減することができるのです。簡単に外壁の印象を変えることができるため、リフォームによって新築のような見た目を取り戻したいという時には最適でしょう。
金属系サイディングの魅力と言われているのが、断熱性と遮音性の高さです。このようになっている理由は、金属系サイディングを使う場合には内側に断熱材が使われているからっです。金属は熱を通しやすいという印象を持っている方もいますが、きちんと対策することによって他の素材よりも高い品質を維持することができます。ただ、中には断熱材が使われていないサイディングもあるので、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
先ほどお伝えした窯業系サイディングの場合、軽くて安い費用でつけることができますが、シーリングのメンテナンスに時間と費用がかかってしまいます。しかし、金属系サイディングの場合はシーリングが外に露出する部分が少なくなっているので、シーリングの交換を行わなければいけないケースが少ないです。その上、金属系サイディングにはフッ素塗料が塗膜として使われているので、色あせることも少なく、一度つけてしまえばあまりメンテナンスをしなくてもいいのはメリットと言えるでしょう。
金属系サイディングは、特別な技術を持っている板金工の方が施行をする必要があります。そのため、比較的誰でも作業ができる窯業系サイディングと比べると、費用が割高になってしまいます。ただ、メンテナンス等はほとんど必要ないので、長期的な目線で見るとコスパのよい素材と言えるでしょう。
窯業系サイディングに比べると、金属系サイディングはリアルなデザインを実現することが難しくなっています。そのため、大半はシンプルなデザインとなっています。よりデザインにこだわりたいと考えている方には、あまり向かないかもしれません。ただ、最近はプリント技術が高くなってきているので、今後はおしゃれなデザインを再現することも可能になると言えます。
樹脂系サイディングとは、塩化ビニール樹脂によって作られた外壁材です。日本ではまだあまり普及していませんが、アメリカでは外壁材の50%以上を占めており、人気があります。扱っているところはまだ少ないですが、近年大手の業者が取扱いを始めたことによって、徐々に利用する方が増えてきています。
樹脂系サイディングの1番の魅力は、やはり価格の安さです。その上、外壁カバー工法も可能となっているので、新築だけではなくリフォームでも使いやすい素材となっています。金属系サイディングほどコストをかけられないという方におすすめと言えるでしょう。
樹脂系サイディングは、4つのサイディング材の中で最も保証期間が長く設定されています。それは、対候性が高くて色あせづらい素材となっているからです。その上、シーリングを使わずに加工することができるため、途中でシーリングの交換を行う必要がありません。メンテナンスがほとんど必要ないので、将来的に高い費用がかかる心配もないでしょう。
樹脂系サイディングはアメリカ生まれの外壁材であり、日本でのシェアは1~2%程度とまだ少ない状態です。日本での取付けの実績はもちろんですが、その後のメンテナンスに関する情報も少ないので、不安を感じる方もいるでしょう。建築業界では、将来的なリスクを考えて新しい商品の使用が定着するのにはかなりの時間がかかってしまいます。そのことを考えると、樹脂系サイディングが主流となるのはまだまだ先のことと考えられます。
樹脂系サイディングの多くは、ドイツ張りと言われるデザインになっています。アメリカ風のカントリーデザインにしたいという方には最適かもしれませんが、他とは違う外壁にしたいと考えている方にはあまり向かないでしょう。
木質系サイディングとは、その名の通り木材を使った外壁材のことです。昔の主流だった木張りの家もここに分類することができるので、戦前は木質系のサイディングが定番だったと言えます。しかし、燃えやすい素材であることや防水性の観点から、時代と共にほとんど使われることはなくなっていました。近年、技術が進歩したことによって耐久性を高めることができた上に、さまざまな施行方法が生み出されたことによって再度注目を集めました。ただ、木質系サイディングのみが使われることは少なく、金属系や窯業系と組み合わせるパターンが大半のようです。
木質系サイディングを利用する方の大半は、やはりそのデザイン性に惹かれているようです。他のサイディングでも木材のような見た目を作ることはできますが、やはり本物と比較するとその違いは一目瞭然です。自然な木材の風合いはナチュラルな高級感を醸し出してくれるので、やはり今でも一定層から根強い人気を誇っています。
他のサイディング材とは異なり、木質系サイディングでは本物の木材を使います。そのため、やはり費用面を比較してみると、圧倒的に高額になってしまいます。だからこそ、他のサイディング材と組み合わせて、一部のみを木質系サイディングにするという方が多いようです。
木材は水分を吸収してしまうと、腐敗したりそってしまうことがあります。そのため、水分を吸収しないように表面に塗装をして仕上げています。しかし、他の塗料と比べると長持ちしないので、どうしてもこまめにメンテナンスを行う必要が出てきてしまいます。コストも他のサイディングに比べると高くなるので、費用面は覚悟して使う必要があるでしょう。
サイディングは新築でもリフォームでも使われることの多い外壁材です。しかし、一度設置したら終わりではなく、一定期間でメンテナンスを行う必要があります。材質によってその費用やタイミングは異なるので、理解した上で選びたいと思っている方もいるのではないでしょうか?そこでここからは、サイディングのメンテナンスに関する詳細を詳しくご紹介していきましょう。
サイディングとサイディングの間は、シーリングという素材で埋められています。この素材は一定期間で劣化してしまうので、メンテナンスで充鎮したり打ち直しをする必要があります。基本的なシーリングのメンテナンスは、7~10年に一度でいいと言われていますが、窯業系サイディングの場合はシーリングの劣化が早くなってしまうこともあるので、5年程度で一度確認しておくと安心でしょう。
・メンテナンス周期:7~10年
・シーリングの打ち換え:700~1200円/㎡
・シーリングの打ち増し:500~900円/㎡
サイディングを外壁として使用した場合の一般的なメンテナンスで行われるのが、塗装の塗り直しです。サイディングの素材自体は吸水性があるものを使っているので、外側から塗膜を塗ることによって防水性を高めています。しかし、塗膜も時間と共に劣化してしまうので、放置しておくと家自体の構造が劣化してしまう恐れがあるのです。それを防ぐために、10年に一度の建物のメンテナンスの際には、サイディングの塗り替えが行われることが多いです。劣化の度合いがひどくなければ、サイディングボードの上から塗料を塗るだけでいいので、比較的短時間で施工が終わります。サイディングとして使っている素材によって耐用年数も費用も異なるので、注意しておきましょう。
・アクリル:5~7年・約1500円/㎡
・シリコン:10~15年・約2500円/㎡
・ウレタン:7~10年・約2000円/㎡
・フッ素:15~20年・約4300円/㎡
・光触媒:5~20年・約4300円/㎡
・ハイブリッド塗料:5~20年・約4300円/㎡
サイディングにも耐用年数があるので、一度貼ったら終わりではありません。一定の年数が経過した後には、サイディング自体の張り替えが必要になることもあるでしょう。サイディングの耐用年数はかなり長いですが、年数が経ったらリフォームを行う必要があることを理解しておくことが重要です。また、適度にメンテナンスを行っているかどうかで耐用年数も変わってくるので、こまめに手入れをしておくといいでしょう。
・窯業系サイディング:20~30年
・金属系サイディング:20~30年
・樹脂製サイディング:20~30年
・木質系サイディング:15~20年
サイディングが劣化した場合、どのような症状が出るのか分からないという方もいるでしょう。劣化の事例を事前に把握しておけば、サイディングの状態が悪化し始めた時に早めに対処ができるので、メンテナンスの費用を抑えることができることも考えられます。そこでここからは、サイディングの劣化の事例について詳しく見ていきましょう。
サイディングを設置する際には、その隙間をシーリングという素材で埋めていきます。しかし、シーリング部分は経年劣化で傷んだりダメージを受けやすい素材となっているので、サイディングよりも早く劣化が起きてしまうことが多いです。よくあるのは、シーリングがはがれてきてしまうというトラブルです。早いと5年程度で症状が出てしまうので、早めに対処しておいた方がよいでしょう。ちょっとした劣化であれば、コーキング材をホームセンターで購入して自分で修繕することも可能ですが、気になる方は専門の業者に依頼することをおすすめします。
シーリング材の表面に塗っている塗料が劣化すると、手でこすった時に白い粉がつくという現象がおきます。これを「チョーキング」と言います。この現象は、外壁塗装に含まれている合成樹脂が劣化によって分解されて発生しています。放置しておくと、防水性が低下したことによって雨漏りが起こりやすくなるので、早めの対処が必要です。
サイディングボードの外側は塗装によってコーティングされていますが、断面には塗装が行われていません。そのため、シーリングの劣化によって水分を吸収して乾燥するという状態が繰り返されると、サイディングボード自体が反ってしまうことがあります。反りが大きくなってしまうと、張り替えを行う必要があります。この状態を防ぐためにも、シーリングの劣化には注意しておき、早めに修繕を行っておいた方がよいでしょう。
ここまでは、サイディングという外壁素材について詳しく解説してきました。サイディングは費用も安く、比較的誰でも加工しやすい素材となっていますが、やはり業者によって仕上がりや価格は大きく異なります。そこでここからは、サイディングの施工を依頼する業者の選び方について詳しく見ていきましょう。
サイディングは素材によって施工方法や特徴が大きく異なります。そのため、よりよい仕上がりにするためには、しっかりとした知識や技術が必要になるのです。これまでの施工事例を見た時に、サイディングを使ったものが多い場合には、安心して工事を任せることができるでしょう。
先ほどもお伝えしたように、サイディングとして使われる素材には主に4つの種類があります。新築の約8割のシェアを占めている窯業系サイディングに関してはどこの業者も扱っていると思いますが、他のサイディング材の場合は業者によって取扱いがないケースも考えられます。また、素材自体の取扱いはあったとしても、施工事例がそこまでなければ仕上がりが思ったようなデザインにならなかったという可能性もあります。そのため、まずは自分が使いたいサイディング材が用意されているかどうかを確認した上で、その素材の施工事例についてもチェックしておくと安心でしょう。
どれだけ知名度が高い業者だったとしても、適正な見積もりを出してくれているとは限りません。家の状態や広さによっても必要となる工事は異なり、それによって勧められる工事の内容や費用も大きく変わることがあります。そのため、外壁の工事を頼む際には、必ず複数の業者から話を聞いて見積もりを出してもらうようにしておきましょう。そうすることで適正な価格を把握することができますし、費用を抑えることが可能です。ただ、相見積もりの時は価格だけで判断するのではなく、施工事例等も加味して判断するようにしておきましょう。
いかがでしたか?サイディング材は、現在の戸建て住宅の大半の外壁に使われている外壁材です。利用されている素材によって見た目や価格、耐用年数が大きく異なるので、自分がどのような印象の外壁にしたいのか、価格をどの程度にしたいのかをしっかりと検討した上で、素材を選ぶ必要があるでしょう。どの素材でもきちんとメンテナンスを行わなければ劣化が早くなってしまうので、信頼できる業者に施工してもらった後はこまめに定期点検を行っておくことをおすすめします。